昨夜貴方の夢を見た
ずいぶん久しぶりだった
顔も忘れたと思っていた
でも本当に貴方だったのか
貴方の髪 瞳 香り
思い出せない
体温は 肌の手触りは
少し見下ろす貴方の睫
覚えている
愛の言葉も
息も
でも今はもう届かない
どこにもない
灰になった
炎になった
骨になり
土に埋もれた
どこにもいない
鈍な鋏で切り裂く手紙のよう
燃えさしの薪に落ちた手紙のよう
語り合った愛が
私の手の届かないところに
だから貴方の顔を眼を耳を肩を
肘手首親指動脈うなじを
夢の中に捨てておく
どうして私たちは愛しあったのだろう
どうして私たちは離れてしまった
どうして
あなたはいまここにいない