電車

地下の駅の階段を上がっていくと
建物と線路の金網と電線に切りとられた
空の青が薄かった
東の空に鰯雲が広がっていた
線路の向こうの南の空には雲がなかった
風と空が秋になっている

知らなかった
今日はもう秋なんだ
足をゆっくり前に出し
空を見上げながら僕は歩く

深呼吸をして
風や電車の音や人のさざめく声に
耳をすませて
ゆっくり歩こう
もう秋だから