希望

お前の魂は冬涸れの山を焦がす火だ
眠る動物達は跳ね上がって駆け出し
炎に撒かれないよう逃げまどう
鳥たちは見えない眼で紅く焦げた夜空に舞う
羽根を燃やす熱を感じながら

空は月もなく暗く地表は白い雪で覆われている
その黒白の世界に一面の火が
赤く紅く舐めつくしてゆく

炎は絶えることなく地表の裂けめから噴き出し
逃げ遅れた兎を力尽きた雛鳥を瞬時に染めてゆく
悲嘆轟音叫び大木が谷に向かってどうと倒れる音
静寂も安寧も消えた世界
ただ砕かれたたきこまれ渦まく焔が全てを支配する

お前の魂はお前自身を焼き尽くす
俺はその身体を固く抱いていよう
ともに灰になるまで

やがて炎が岩となり不毛の地表に雨が降り石の間に土が溜まり
小さな小さな草がはえる星よりも頼りない花に何処からか蝶が飛んでくる
染み出した水は小川に川には魚の尾びれが光る太陽がそれを照らす

其処に俺達はいないけれど
静かな
新しい世界がまた
動きだすのだ