硬い木の椅子で彼が眠っている。背の高い彼には窮屈だろうに、少し首をかしげ、肘掛けについた頬杖もそのままに。
開いた窓から吹き込んだ晩夏の風が、前髪を揺らす。口元は緩み笑っているように見える。夢を見ているのだろうか。
彼が生まれた夏、熱の中に微かに感じる秋の気配。雲の形さえ変わっていく。去ってしまう夏への寂しさ。そんな日に。
お前にありがとうと言いたい。私と出会って、そばにいてくれて。
だからお前の眠る瞼の上にキスをしよう。どうかそのままでいて、離れないで、目覚めないで。お前を愛している私に気づかず、眠っていて。
愛しているよ。誕生日、おめでとう。