羽音

鳩が巣に帰っていく音がする、夕方の風の匂いがする。誰かの声。
____もう、戦闘は終わった。
そうか、戦いは終わったのか。だからこんなに静かなんだ。羽音、誰かの泣き声。泣かなくていい、もう終わったんだろう、終わるんだろう、あとは眠るだけなんだ。

でも、お前は生きようと言う。生きて、ふたりで、まだ人生を続けよう、朝になればまた鳩が飛ぶ。また明日がくるならお前といたい。だから、生きて。

空が青い、遠い。そうか、見えているんだ。まだ見えてる、涙を含んだ瞳も、紫がかる空を背景に、見下ろしているお前の金色の髪も。見えているなら生きられるだろう、今吹いているのは明日に向かう風。鳥の羽音は今飛び立つ音。

生きるよ、生きよう。今、両眼で見える青く美しいお前の瞳を空を。

いつまでも、見ているよ。