アニばら語り オスカルの誠実さ

軍人として揺らがない信義を持ち、また兵達の信頼を得るために誠実であること。オスカルはそういう教育を受け、公では感情をあらわにしませんし、生来の性格もありとても誠実でした。
激情を向けるのはアンドレだけです。アンドレの左目が失明した時、近衛を辞めることで争った時。アンドレに関してアンドレに対してだけ感情を露わにします。しかし愛されていることを知ってからは変わります。
アンドレを遠ざけたこと、アンドレを愛していると気づいても告げられなかったこと、これは全てオスカルの誠実さです。

愛を返せないから遠ざける、目を奪った私が愛を告げられない、戦うことを捨てられないのに彼を連れていけない。誰よりもアンドレが大切だったから、オスカルはこれ以上アンドレを傷つけたくなかったんです。目を奪い、苦しめた上、命まで危うくさせることは。
義を切り離せず戦いに臨む私はひとりで行く。アンドレは平穏に生きてほしい。しかしアンドレはこれまでもこれからも共に生きる、と言います。それでもオスカルはかつて他の男性を愛しアンドレを傷つけたことで怯む。傷つけ目を奪って命まで危うくする。彼の答えは

全て愛している。

 

オスカルはそこでようやく、公も義も私も抱えて生きることを、アンドレを愛して幸福になることを、自分に許せたんです。

 

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