夏の雪

お前が生まれたのは夏の終わりだったね
空の青さが少しずつ淡くなって
雲も薄く静かに広がった
お前はそんな季節に生まれた

私は冬だったんだよ
旅人も凍りつくつくほど雪が降っていた
風も強くて
母はただガラスが鳴る音だけを聞いていた

お前の夏は静かだった
私の冬は激しく強い
お前の夏は空が高い
私の冬は雲が低い

私たちが出会って混じりあって
そうしたら
夏と冬も混じってしまうんだろうか
見上げる晴天から雪が降る
聖なる日に日差しで焼けてしまう
そんなふうになるんだろうか
私とお前は混じりあってははいけないんだろうか

私たちは出会ってしまったのに
私たちは愛しあったのに
私たちの愛は
夏と冬を溶け合わせ
神に定められた身分を壊す
人に認められず
夜にしかささやきあえず
朝の鳥が鳴きだす前に離れる

夏と冬は混じってはいけない
夏と冬は相入れない
夏と冬は
お前と私は
愛しあった溶けあったひとつになった離れられない
夏と冬を混ざり合わせても
世界の理に反しても
お前を愛してるよ
夏生まれの日に焼けた お前と
冬生まれの白く透ける 私と
太陽の前に雪が溶け
溶けた雪は地下深く潜り
やがて 春に芽吹かせる

 

私たちの愛は春
すべての命謳う 春の歌