稜線

 

眠る前にふと お前の肩の線を思い出す
首の下まで伸びた黒髪のその先から
なだらかに肩先までおちるその放物線

体温に包まれて その線から天井を見上げる時
私の知らなかった地平が見える

そこにはお前の温度があり匂いがある
鼓動があり 頬が湿る息がある
私は知らなかった

熱も鼓動も かけがえのない大切なものであること
体温に包まれることが幸福であること

揺れる黒髪から覗く耳も
苦しげに眉を寄せたその目元も
体温と引き換えに私が与えていることが喜び

私は放物線を指で辿り
硬い肩の骨に触れる
そこに歯を立てる
あがるお前の声 熱 息

見上げる天上は暗い
私たちはそこへ辿り着けない
それでも

お前を抱いて
私を抱きしめて
その時だけ
暗い山の稜線に

私は永遠を見る