シャロンの白薔薇

ガンダムジークアクスとベルばらコラボSS

オスカル・フランソワ准将=シャア・アズナブル
アンドレ・グランディエ中佐=シャリア・ブル
ロザリー少尉=コモリ・ハーコート
マリー王妃=キシリア・ザビ
フェルゼン少尉=エクザベ・オリベ
アルトワ総帥=ギレン・ザビ

その他はジークアクスの設定のままです。ただしマチュとシュウジは超脇役です。ニャアンは出てきません。9話時点での設定ですが多少改変しています。

ご理解いただけましたら どうぞ。

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地球とジオンの一年戦争。ジャルジェ准将はグラナダ戦の最中、正体不明の物質が引き起こした大規模爆発、ゼクノヴァの光の中に消えた。それから五年、ジオン戦勝後も准将のMAVだった私は彼女を探し続けている。

 

「ロザリー少尉、君はジャルジェ准将の噂を知っていますか」
「十五世陛下の落胤という噂ですよね。都市伝説の類です、自分は信じません」
「しかしマリー様は信じておられる」
「王妃様が?なぜ」
「准将が十五世の後継ならば、アルトワ総帥を引きずり下ろしマリー様が真の王妃として君臨するための後ろ盾になる。先の十六世陛下が亡くなった後、外国人のマリー様は支持基盤が弱い」
「グランディエ中佐、その為に准将を探しているんですか」
「そういうことにしておきましょう、ロザリー少尉。今はね」

「グランディエ中佐、サイド6での会談のためマリー様が王宮を離れるのは五年ぶりです。総帥がこの機会を逃すとは思えません」
「わかっています、フェルゼン少尉。だからあなたにギャンを託すんです」
「中佐、あなたを信頼していいのですか」
「私は以前アルトワ総帥の配下でした。信頼できなくとも無理はありません。私の働きで判断してください。マリー様にもそのように」
「・・・僕の意図を」
「互いにニュータイプですからね。でもお互い全てがわかる訳ではないでしょう」

「マリー様、下がってください!地球軍の人造ニュータイプですが、あれはきっと総帥の」
「フェルゼン、あなたは大丈夫?」
「隻眼の幽霊が来ます。彼がアルトワ総帥の手先を倒してくれるでしょう」
「結局、隻眼の彼は総帥派ではなかったのね」
「そのようです、薔薇の探索はグランディエ中佐に任せて間違いないかと」
「薔薇はこの政争を終わらせる重大な鍵です。中佐ならばきっと命に変えても探し出すでしょう。中佐の・・大切なMAVを消してしまった薔薇を」
「グランディエ中佐の、MAV」
「そう、歴戦の無敗の戦士であり、若くして准将になったオスカル・フランソワ。そして中佐とMAVとなり赤いガンダムで目覚ましい戦果を上げた。シャロンの薔薇が引き起こしたゼクノヴァで消えるまで・・中佐はジャルジェ准将を探すために生きているのよ。オスカルを・・」

「グランディエ中佐、撃墜してくださってありがとうございます。しかしアルトワ総帥が諦めない限りまた起こらないとも限りません」
「そうですね、シムス中尉。このような事態はなんとしても防がなくては。ジオンは危うい均衡の上に成り立っています。マリー王妃が先に死ぬようなことがあっては困る。総帥と王妃、同時に死んでもらわなくては」
「その後を、ジャルジェ准将に託すと」
「先の戦争では人口の半分が失われました。もう決して戦争を起こしてはいけない。しかし総帥と王妃の政争がある限り、火種はなくなりません」
「我々はグランディエ中佐を全面的にバックアップします。何よりも薔薇の探索を」
「わかっています。必ず、薔薇を・・・准将をこの手で見つけ出す」

「ロザリー少尉。またゼクノヴァが発生したと?」
「はい、サイド6に突然現れた赤いガンダムと、強奪されたジークアクスが発生源です」
「赤いガンダムに准将が乗っていないことはわかっています。しかし、それでもゼクノヴァが起きたとは」
「捕らえたジークアクスのパイロットは、アマテ・ユズリハ。通称マチュ。赤いガンダムの搭乗者はシュウジ。彼はガンダムとゼクノヴァとともに消えたそうです」
「・・ジャルジェ准将と同じ」
「アマテを尋問しますか」
「手錠を外して。私の私室に」

「私の目的は薔薇を探し、消えてしまったジャルジェ准将を見つけること。だから君が必要なんです、マチュ君。君の大切な人もゼクノヴァの向こう側へ消えたんでしょう。何か知っていますか」
「・・・シュウジは・・ガンダムが薔薇を探してるって。だから」
「ほう、薔薇は地球にあると?!」
「どうして、言う前にわかるの」
「マチュ君と同じ、私もニュータイプなんです」
「私はそんなのわかんない!シュウジが何を考えてたかなんて、全然わかんなかった。何にも・・」
「君はまだ若い。人の心も闇も絶望も知らなければ、心を知ることなどできないんですよ」
「でも・・でも私は分かりたい。シュウジを探したい、シュウジに会いたい。シュウジ・・」
「・・ロザリー少尉。尋問は終わりです、独房に戻してください。でも手錠は入りません」
「中佐、それでは」
「いいんです、マチュ君。お疲れ様でした」

「アマテ・ユズリハが独房から脱走。ジークアクスを発進させます」
「少尉、そのままハッチを開けて行かせなさい」
「しかし」
「マチュ君は、必ず薔薇へ辿り着きます。ジークアクスが導いている。我々も地球に向かいます、薔薇はきっと・・・地球にある」

「アマテがいるのは、どうやらジオン将校相手の地球の高級娼館です。そこでララァという女性に助けられたと」
「・・ララァ」
「グランディエ中佐、知っているんですか」
「あの最初のゼクノヴァの時、一瞬見えたのです、黒髪の女性が。ロザリー少尉、進路をそちらへ」

「ジークアクス、アマテ・ユズリハと共に、薔薇を発見。海中から回収します」
「薔薇だ・・ようやく見つけた。これは我々の次元のものではない。これを御するものがこの世界を制することができる、そのはずだが」
「グランディエ中佐、薔薇が揺れています!ジークアクスも起動。どうして?アマテは搭乗していないのに。それにこの光は・・ゼクノヴァです!」
「・・ララァ!薔薇の中にいるあなたが、この次元を揺らしているのか?この光は・・あのゼクノヴァの、准将が刻が見えると最後に交信して消えた、あの時のものだ。ララァ、准将は何処に?!!」

「私は・・別の世界でオスカルに出会い、恋をしました。でもあの人は戦いで死んでしまった。愛する人を死なせない為に何度も世界を作り直したのに、何度も・・・何度でも、彼女は死んでしまう。それでも今なら、オスカルを愛し求めているあなたのいるこの世界なら、ゼクノヴァの向こうにまだいるかもしれない」
「ララァ。私を其処へ連れて行ってください」
「アンドレ、あれは時の向こうのあわいの場所。死も生もない、姿も肉体も元通りであるかもわかりません」
「それでもかまわない!彼女に会えるなら、肉体が塵になってもいい、世界が全て滅んでもいいから、俺を連れていけ。彼女の元に!!!!」

 

 

・・光が眩しすぎて、目が開けられない。この光、そうだあの時、オスカルが目の前で消えてしまった時の光。俺もあの時、そちらへ行きたかった。でもガンダムが、あの忌まわしいモビルスーツが彼女を取り込んでしまった。ニュータイプという、人ならざる人類が生まれたために、その力を同じ人間で殺し合うことに使ってしまったために、殺戮機械は自ら魂を持ってしまったのだ。だから彼女を連れ去った。

オスカル・・・オスカル、何処にいる。俺は・・此処だ。ずっと、探していたんだよ。出会った時から愛していた、戦いの中でも一瞬たりとも目が離せなかった。お前がいたから、俺があの世界にいる意味があった。
血で手を汚したお前も俺も、世界に存在してはならない。ならば・・ならば此処で、世界が確立せず混沌とした流れの中でなら、ふたりいられるのではないか。ララァがもう二度と世界を作り替えなくてもいいように、俺たちはここで永遠に漂う。

オスカル・・・・光が眩しいんだ、もう、溶けていきそうだ。どうかその前に、俺の手を取ってくれ。光が集まって・・白く・・・・薔薇になる。眩しい・・・・

――――アンドレ

薔薇が囁く

――――――愛しているよ

 

オスカル_____俺の、永遠の白い___薔薇

 

 

 

END

 

 




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