行軍

私は歩き続けている
足元はひどくぬかるみ
冷たい雨が顔を刺す
どこまで進んでも青い空は見えない
もはや空を見上げることすら出来ない
ただ進む
一歩一歩息を切らし
地面にめり込む足をひきあげ
また沈み込み

誰かが

もう立ち止まっていいのですと
声をかけてくれるまで
私は進む
歩き続ける

やがて細い月すら出ない夜がやってくる
私は歩く
前も見えない
後ろも

立ち止まっていいですか
ここで止めていいですか
もう一歩も動けません

誰か

誰か私に

ゆっくりお休みと言ってください
声をかけてください
お前の苦しみはここで終わったと
そう言ってください
あの人と同じ場所へ逝っていいのだと

しかし応える声はない
光もない
真の闇

私は進む
歩き続ける
闇の果てまで