半身

あなたが死んだとき私の指がひとつ欠けた
濡れた砂糖のように砕けた
風が土を掘り返し私の足下に埋葬の黒い穴が現れた
木の根が光輝いて蛍が私の髪を埋めた
蚕の白い糸が血液の中に入りこんだ
絹を纏った貴婦人の嘆きが溶けた砂糖を墓穴に流した

私はあなたが死んだときのことを思い出している
記憶の糸を織り上げ染めかえし烏が夜の底を踏んで歩いている
夜の女王は青い馬に乗り小宇宙を食べている
金色の髪の先から火がついて惑星と衛星の間に小人を泳がせる

私はあなたを殺した
あなたの死を悼み嘆き悲しみ連れて行ってくれと叫ぶ
永久にあなたとともにいることをちかつたのにわたしだけがのこされるなぞしんじられないわたしがここにのこされるはずはないわたしはあなたのはんしんであつたからこそ

私は

砂糖に蛍に蚕に貴婦人に烏に女王に惑星に小人に鬼に

なる

あなたと共に