深海

私は遠い海で生まれた
原初の海と空が分かれていなかったとき
光の届かない海の底から陽の射す水面に上がってきた
その時お前も一緒だっただろう
私達は混沌とした
波と雲の交じり合った空を見ていた
私達はずっと一緒にいた
川を遡り森に辿りつき最初の男と女になった
私は肋骨から作り出された者ではなく
始めから共にあった
だからこんなことで離れるはずは無い
お前が血の痕だけ残して何処かへ行ってしまっても
私もすぐに追いつく
すぐにお前の元にいく
私達は帰るだけだから
石畳の血の流れが川に落ち海に運ばれまた深海に戻る
海底に横たわって目覚める日を待つ
私達はひとつのものだから離れない
お前と私はずっと
原初から終わりまで