女の白い肩から脇へ腰にかけてなだらかな稜線のような
腿から膝へしなやかな脹脛の影
細い腕は投げ出されている
シーツの上に広がる
窓枠の十字が月の光の濃淡を長く差す
白い影柔らかく鋭い曲線
このまま留めていたい
風が音を立てれば誰かの手が微かに触れれば
壊れてしまうお前の絵
触れずにいたいでも壊したい見つめていると苦しい
息を吐く音すら立てず蒼い瞳は開かず稜線は動かない
手を伸ばせば声をかけて海底に沈むお前を
ゆっくりと浮かび上がらせ血液の温度を
冷めないよう沸騰させないように
白と黒の陰影のあわい月が傾くごとに
その境目がずれる羽の跡の骨が弓を描く
髪の色彩は失われながらシーツに散らばる
今は留めていよう
夜の底に響くピアノの旋律のように
今この時だけの苦い酒を染めよう
明日になればすべてが失われるのだから