さよならも言わずに何処へ行ってしまったのかお前達は
夏の暑い日だった蝉も鳴かなかった川は流れるのをやめていた
ただ死だけが流れていた
足元を埋め尽くす血が点々と白い染みのように横たわる身体が
海に向かっていた
私達が生まれた海
深海のゆるやかな流れから次第に水面へ近づき
やがて陸へとあがったのだ遥かな昔
夏の陽に焼かれ最期に思い出すのは暗く暖かな秘密めいた原始の海だ
慟哭する母の涙と共に生命が漂い流れつくその先
安寧への道
いつの日か私も其処へ辿りつこう
全て許されて眠れる夜に