無常

明日私は何者でもなくなる
貴族であること
伯爵であること
武人であること
私を包んでいた囲いは弾けあるいは霧散し
私は溶けだして形を成さない

身体から流れ出た血が石畳に落ち
やがて河へ海へ到達するように
無形の私は何処へ行くのだろう

それは身震いする怖ろしさ
溢れるほどの歓喜
何者でもない何者でもない
私は定義できない

朝よ早く来て
曙光で私の存在の枠を外して
明日起こることは神ですら知らない
何者でなくなっても
私は私であり続ける