愛するということ

私は被告席に立っている。おかしなものだ、どうして私が、ここに立たなくてはならないのだろう。私が何の罪を犯したと?貴方は国を裏切った?まさか、私は何も誰も裏切ってなどいない。裏切ったのはあなた方でしょう。神から授けられた王権に逆らうなど。あなた方こそ最後の審判で裁かれる。さあ、私を解放しなさい。子ども達のところに戻してちょうだい。私の生きる意味はもう子ども達だけ。夫はあなた方に殺された。愛した人はもう外国の空の下。母もいない。今の私は死んでいるのも同然。死人を処刑するなどと、あなた方はとてもおかしなことを言うのね。
私の子ども達。貴方達だけはどうか生きて。私は罪無くして死ぬけれど、どうか。

 

あたしは被告席に立っている。馬鹿なことを。立たせるならもっと他の奴らだろう。ほら、傍聴席で笑ってるあいつらだよ。髪粉を振って、顔を白く塗りたくった奴ら。あたしが利用し、あたしを利用した。おどおどして太った大司教、扉につかえるほど大きな髪飾りを乗せた王妃。あいつら、あたし達からどれだけ奪ってきたと思う?金も尊厳も自由も。ただ生まれついた場所が違ったと言うだけで。この茶番を聞いているあんた達は知ってるだろ。だからあたしに罪は無いんだ。悪いのはあいつらだよ、そうだろう。

 

私の罪、ですか。確かに私はマダム・カペー。かつて王妃と呼ばれていた女性の世話をしていました。私がその役目を正しく果たさなかったと?私が弱った女性に暖めた毛布を与えたこと、看守から託された花を渡したこと、それが私の罪ですか?
私の夫は革命家であり、私の姉は王妃、いえ昔の呼び名です、の罪を告発しましたから、あなた方は私を信頼して任を託した。私が命じられたのは、マダム・カペーを裁判に耐えるようにすること、最後まで命を保たせること。私はその任を全うしました。誰に恥じることもありません。あなた方が命じたのです、まさかお忘れではありますまい。私は罪など犯していません!

 

私は罪を犯しました。

 

私の罪は彼を愛したことです。そしてそれに気づくのが遅すぎたこと。気づく勇気を持てなかったこと。彼はただ黙って優しく、そばにいてくれたのに。どれだけ長い時間だったのか、待つことは。私が他の男性を愛している間、彼の愛を拒んだ時も。貴方のように、ただ見守り続ける。仔羊が迷い道を誤ったとしても、信じて待っている。そのようなことが、人にできるのでしょうか。彼自身が血肉を持ち、傷つきやすい魂を抱えていたのに。
彼の苦しみと流した血を私は贖わなくてはならない。彼の失った左眼を、返さなければ。私は明日、死地に赴きます。彼と共に。残された日々の一瞬たりとも離れない。彼の左に立って、彼と同じ未来を見て、共に歩む。彼と貴方がその勇気をくれました。
全ての生命を祝福される貴方、見守ってください。私が死の瞬間まで勇気を持ち、彼の愛に応え続けることを。

 

私の罪は私の愛、それを贖うのは、明日の私の愛。