夜の宝玉

肩越しの月の光が、彼女の髪に煌めいて反射する。蛍が樹々の影を背景に金色に瞬く。彼を見下ろしている彼女が纏う月光はベール。蛍は金糸の刺繍。そして夜の底でなお光る青い瞳は、地上で唯一の宝玉。生きて揺らめき、その中に炎を燃やしている。

夜と月と蛍が、彼らの結婚を祝福していた。つかの間の、今宵だけの、永遠の愛を。

 

 

*rdsさんのラフスケッチを元にしています