劇場版鑑賞記(ネタバレあり)

記憶と熱が冷めない間に鑑賞記を書いておきます。ただ寝不足の上にガンダムGQuuuuuuXとハシゴしたのとw後述する要因で記憶曖昧なところもあります。かなりネタバレも含むので、バレ回避したい方は閉じてください。

①全体の感想
まず劇場版作成を聞いた時に、一番気になったのが「オスカルはフランス万歳で死ねるのか?」でした。旧テレビアニメ版においては(以下旧アニ)時代的に、全共闘の凋落によって革命幻想が終わっており、民衆側に走ったオスカルは革命の理想を語ることをしませんでした。ただ「さよなら」といって去る。あの時代にあの演出では必然であり、衛兵隊が正義のヒーローとして描かれなかった点を含め、素晴らしいものでした。

それから半世紀近く。令和のアニメは「革命を描けるか?」そしてそれはちゃんと描かれていました。

②構成と演出
全体の構成は、まず原作。そして宝塚を反映してると思います(私は宝塚に詳しくないので印象です)前半はアントワネット中心、後半はオスカル中心と、ほぼ前後編的な構成。そしてかなりな頻度で歌が入ります。

*歌について
私は結構きつかったです。特に前半すぐ歌が入り、字幕はないのでまず聞き取らなければならない。聞き取れた歌詞は部分的ですが、これならアニメ中の演出にしたほうがいいのではと思いました。ミュージカル慣れしてないときついです。
ドレスを着たオスカルのエピでも歌のみ。エピソードを省略できる、エピ演出でなくて語れる、という点で歌なのでしょうが。歌に振らず演出に時間とって欲しかった。

*構成とエピソード取捨選択
アントワネットとオスカル、ほぼ前後編で分けたからわかりやすくなっています。そのためエピソードはフェルマリ、アンドレオスカルが中心で、他のエピソードはかなり省略されています。原作を元に、縮小するためのオリジナルエピソードも入っています。私はこのオリジナル部分が結構好きです。

特にアンドレが貴族に怨嗟を持つ暴徒によって片目を失う。ためにオスカルが民衆を知ろうと衛兵隊に入る。これはオスカルのキャラクターとして自然で良かったです。ここでいきなりアンドレが髪切られててびっくりしたけどw あと毒殺未遂のあと、「俺はオスカルにいつか命を捧げようと誓ったはずなんだ」と後悔するところ。脚本か監督はアンドレ贔屓入ってるwと思えました。オリジナルセリフが結構いいんです。

ただ前後半で主人公分けたために、オスカルの出生時将軍によって男として生きることを定められたこと、アントワネットがギロチンに送られたことの描写が薄かったことは悔やまれます。

*演出意図
まずこの映画の客層は、昔読んで懐かしくなった、今現在ファンである、およそ40代以上の女性層です。私が行った日も、ほとんどその層でした。
私としては、ガンダムみたく踏襲しながら全然違う令和世界観、な映画もありだと思っていましたが。客層的に難しいでしょう。まずもって懐古的客層に見てもらわなくてはならない。独自展開は旧アニがやりましたしwやはり原作準拠、そしてファン層の厚い宝塚調。

キャラデザ、演出も含めかなり原作に沿った演出になっていました。ただそれが、私には結構恥ずかしくて。あのキラキラ、突然現れる神話風、BGMと共に開く薔薇。漫画と大画面のアニメではインパクトが違いすぎるw正直、ちょっと正視できなかったところもあります。
あと現代のアニメ制作現場で、原作のキャラデザ、特に顔立ちに関しては難しかったのかなと思うところも。令和アニメはほとんど鼻がなく、原作のような欧米的な掘りの深い顔立ちはあまり見かけません。CGでのダンスや戦闘など動きのあるシーンはさすがでしたが。キャラの顔の動き作画が気になりました。

ただかなり考証されたであろう意匠、背景美術は良かったです。アントワネットは時代年代と共に都度違う装いをしていますし、軍服等も詳しかった。ジレやローブの細かいところも書き込まれていました。後々参考にできそうなので、意匠美術の資料が欲しい。

③まとめ
一番の懸念であった「革命を描く」
前半の煌びやかな、しかし非人間的な宮廷生活。後半のオスカルを中心とした民衆側の描き方。
原作準拠とはいえ、オスカルが時代の先を見て、革命の理想を追った。愛する人を失い自身の命も捧げても、追い続けざるを得なかったものがある!そこがちゃんと描かれていたことは嬉しかったです。

誤解されがちですが、ベルサイユのばらはオスカルの恋愛漫画ではなく、二人の女性、彼女たちを愛した男性、それらを全て飲み込む時代の渦を描いた大河ドラマです。そこの芯は残っていたと思います。