赤い海

君が赤い海に横たわっている
それは僕の身体から溢れ出た血
汲めども尽きぬ泉のように
絶えることなく流れ出ている

ソノ声ガ聞コエルカ
骨がきしんで悲鳴をあげている
アノ音ガ聞コエルカ
胸が切り裂かれる音
僕は息も出来ない

骨が音を立てて折れてゆく
破片が身体中に突き刺さり
皮膚を突き破っていく
筋肉がちぎれ
剥き出しになる骨と神経
曝されたそれを
守るものは何も無い
雨が傷ついた身体に染み込んで
苦痛の叫びは厚い雲を突き抜け
月まで届くだろう

それでも
赤い海に横たわる君は
髪の毛一筋すら染まらない
金の髪も真珠の肌も
たった今
海の泡から生まれたように
輝いている

白く蒼く
闇におびただしい光を投げかけ
すぐそこにありながら
手の届かぬほど遠い
蒼い瞳に映る寒月

どんなに焦がれても求めても
手にすることは出来ない
遠い色