壁の向こう

言葉には重さがあると気づいたのはいつだろう

初めはまだ空気の中に漂うほどのものだった
いつとは知らず身体の中に入り込んだ
胸を破らなければとり出せない言葉

時々

重さに潰されそうになる
誰もいない部屋で喉の奥から出して掌に載せてみる
空気を振るわせるだけの音の羅列がこれほどに重い

いつかこの重さは胸を破るだろう
それまで言葉は成長し続ける
決して消えない
今夜も

一人きりの部屋の壁に言葉を投げる
願わくば
この重さがお前を傷つけることのないように