黎明

目が覚めた時
まだぼんやりしてここが何処なのか
奥底の余韻を残したまま窓の外の静謐な光を見る

そうしてお前の胸の中にいることに気づく
身体を埋めていた絹の感触より柔らかく
触れると掌が吸いつく
回された腕の重さが心地いい

求めていたものが此処にある安堵
このままずっと沈んでいたい誘惑
この時間を留めておけるなら私は

しかし時は流れている
耳に伝わるお前の鼓動のひとつひとつが
私達を来るべき場所へ連れていく砂時計の砂
鼓動も落ちる砂も止めることはできない

だからいま
ほんの数刻だけ
暖かさの中でまどろむことを許してほしい
お前が目覚めるまでの僅かな間
それだけが

私達に許される時間