七歳

友達がいればいいのにと思った

この空のどこかに友達がいるなら、いつ出会えるんだろう。庭で一番高い木に登る。出来るだけ遠くまで見渡せるように、もっと上へ。鳥が驚いて逃げていく。夏の終わりの空は、どこまでも雲もなく澄み渡って、森の向こうまで見えるかもしれない。

でも僕の友達はいない。探しているのに。

木の梢より高い空で雲雀が鳴いている。囀りあって何かを話しているんだろう。話し相手がいればいいのに。あの鳥達が夕暮れねぐらに帰るのを、一緒に追えたらいいのに。

太陽の傾く西の空に向かって、僕は待つ。きっとあの西の細い道を辿って、僕の最初の友達がやってくる。そうしたら秘密の隠れ家を教えてあげよう。大人には絶対に見つからない、特別な場所。ひとりでは、かくれんぼもできないんだ。

栗鼠の巣や、土竜が掘った穴や、背中の光る魚がいる小川、野苺の実る茂み、冬の星座、夏の朝、春に昼寝できる野原、僕が知っている楽しいところを全部話して、一緒に遊ぼう。

西の道をやってくるのは、黒髪の男の子だ。出会ったら、そうだな。まず名前を聞かなくちゃ。綺麗な名前なんだろう。君が来るまで、僕は待っている。

きっと来るよね。それまでここで、何度でも夕陽を眺める。出会うまでずっと――君を待っているよ。

 

END