メロディ

ふと目を開けて気がつくと
彼の指はそれは見事な曲線を描いているのだった
私はそれが不思議でたまらず
あの激しい行為の中で
かくもやさしい柔らかな線がありえるものかと

肩越しに見える窓の向こうの望月は
彼の輪郭を黒々と浮き出させているけれど
彼の指だけ月明かりの気まぐれかはっきり見えるのだった

夜の底で漂いお互いを貪りあう二匹の魚
私の金の髪は水面に浮き上がりまた沈み

私たちは互いの膚に指の痕をつけていく
彼は優しく 私は激しく
私の膚の上で彼が奏でる旋律
月明かりに向かって流れていく

優雅な動きの優しい指
私の愛する
彼の一部