星と雪

愛しい者を見つめるときは 遠くから見なければならない
その後姿がかすかに見えるほど 声をかけても振り向いてもらえないほど
いっそ見えなくなるほど遠くでもいい
どれほどの想いを眼差しに込めても気づかれないほど遠くでいい
近づけば指先からもれ出る想いが伝わってしまう
星を数えるふりをして 果てしなく降り積もる雪を手に受けるふりをして
近くにいるときは想いを封じ込める

いつか

何ひとつ秘めることなく君を見つめられる日がくれば
僕はもう星を数えない冷たい雪に手を差し伸べない
数えるのは君の鼓動
掌は君の手に重ねているだろう
その日がくるまでは
僕は遠くだけを 見つめる