春夏秋冬

何もかも判っている お前のことなら全部
何を見ているか 何を考えているか 誰を目で追っているか
窓に寄りかかりため息をつくのは何故か 鍵盤に触れる指先から零れるものがなにか

冬の最初の雪を掌に受けるのも
馬の背を撫でながら密やかな声で歌うことも
春の訪れた小川に小さな魚の跳ねるのも花が誘うように揺れるのも
夏の日差しを木陰に避けるのも
お前の心を慰めない 叶わぬ想いだけが

雪のように降り積もる 降り注ぐ陽光のように 燃え尽きて散る木の葉のように
誰かを見ているお前とお前を見ている俺のなかに ただ
積もっていく

もう此処からは
出られないんだな