私達が一緒にいられたのは ただ一日
自由で二人きりで 違う未来に行けたのは
あの一日が私達の世界の全て
夏の夜から夏の午後まで 鳩が帰っていく羽音を聞くまでの
二十数時間が 私と貴方の未来だった
夜は蒼く美しく 曙光は輝いた 日差しは木々を照らし 銀の魚が跳ねた
あの一日にかいま見た未来の先に 誰かいるのだろうか
私と貴方が消えたその先に 待っている人が
私達が倒れた地の向こうに 新たに生まれる子どもが
夏の夜の月を 喧騒の地上の彼方に飛んだ鳥を 貴方が流した涙を もう開くことのない瞳を 大地に吸い込まれた血を 空にのばした手を 最後に残した言葉を
たった一日だけ 私達が自由でいられた
私達が明日を信じていた
ただ一日
私達は 一日だけの永遠の 恋人だった