お前の足は雪を頂く北の山脈 仰ぎ見て手を伸ばしても触れられない
堅く白く冷たく 訪れを拒む溶けない氷
春を知らず夏を知らず秋の憂鬱も 飛ぶ鳥の愛の言葉も響かない
お前の知らない夏の熱 啄まれて落ちる春の花弁の音もなく
ただその足先の 僅かに朱に染まった爪だけが
閉ざされた皮膚のしたの血を現わしている

儚いほどの小指の爪 それを弾く
振動は波紋となって伝わるだろう
揺れは雪崩となり 凍土を溶かし 流れる血管の熱が
夕陽に照り映えるように紅く 強く 激しく 震え 滾らせる

花の色に染まるお前の足
蝶が吸い寄せられ 鳥が羽を休め
生命が動き出す
溶けた氷は河になり海になる

 

海の名前は