彼は遠くを見ていると思った 私を見ているはずなのに 私の身体を一巡して解体し組み上げ 遠くへ運んでいくのだ
私は彼の右目を涙で拭う 彼の眼に刺さった氷の棘を溶かしたいと願う
さりながら
私はかの右目に見つめられることに うち震えるほどの歓びを感じる 彼の目で壊され再生されることを願う 私が潰した彼の右目を
その目の中に私を入れて吸い上げて飲みこんで咀嚼して砕いてしまって 彼の一部になりたい 彼の全てになりたい そうすれば
私達はひとつでいられる 決して離れない 死が二人を分かつともお互いを失わないでいられるだろう