夜の呟き 雨

雨が降るとお前に会いたくなる
まだ眠っているのだろうこの早朝に
東から薄い太陽とともに淡い雨が降る
雨の境界を探しにいった幼い時のように
誰よりも早く目覚めて誘いに行こうか
雨の向こうにいるお前に会いたいから

僕ら旅に出よう
もうすぐ雨の切れ目にたどり着くから
濡れた馬のたてがみを撫で
走って走りつづけて旅に出よう
駈けていく先に僕の故郷がある
アーモンドの花が咲いている丘に行こう
そこには僕ら以外誰もいない
雨が追いかけてきたら木陰で休もう
かけっこしてかくれんぼして 泣いて笑おう

夢を見ていた
懐かしく暖かく日溜まりにいる夢
目覚めると淡い太陽の前に小糠雨が降っている
昔雨が途切れる場所をふたりで探した
何処までも追っていくうちにふたりだけになった
あの夢のような一日のようにお前に会いたい
ふたりだけでいられる場所へ走りたい
雨の日はお前と
生きたい