夜の呟き 執着

私の夢はお前の夢の中に入っていくだろうか

ある日ふと思いつき見た夢を書き留めてみた
朝まだき目も覚めやらぬうちにペンを取る
青いインクが白い紙に痕を残す

そして私は夢の中にお前が出ていないことに気づいた
どうして現れてくれない
毎日陽の昇っている間は殆ど
お互い見つめ合っているというのに
僅か離れている間もいつも
気配を探しているというのに

私の網膜の裏にお前は刻まれていて
目を閉じている間決して消え去りはしない
だから夢にお前が現れるのは当然だろうと思っていた
違うのか
そしてお前は私を夢に見るのだろうか

お前の夢の中に侵入したい
お前の中に入り込みたい
お前の裏側から私を見たい

お前が私を
夢に見ているかどうか

 

知りたい

 

私は眠るお前のそばにそっとノートを置く
ある朝は爛漫の花火だけが咲いた夢
ある日は暗い洞窟に蠢く者がいた夢
お前に助けを求めた夢 答えられなかった夢 悲しかった夢明るい夢辛い夢懐かしい夢 愛しく切なくて苦しかった夢
その全てを書いたノートを

お前は夢を見るだろう
私の夢を読みその夢をまた見るのだ
そこに私がいる
眠るお前の中に寄り添っている
片時も離れたくない私の執着

そしてその夜 私の夢にお前が現れる
悲しく苦しく愛しい夢 胸をかきむしるほど切ない夢
お前が同じ夢を見ていることを私は知っている
私たちが眠りの中で一つになれたことを

無情の曙光差す朝が来る
私たちは別々の場所で目覚める
そして夢の片鱗すら覚えていない

それでも私はお前を愛するだろう お前も私を愛しく思うのだろう

陽の差す間は見つめ合い 眠る間は同じ夢を見る
私達の愛の形