夜の呟き 存在証明

お前を大切にしたい、でも壊したい。溺れるほど愛されたいけれど憎まれたい。出会いたくなかった、でもお前を知らない人生なんて欲しくない。応えて欲しい、振り返って、微笑んで、いつまでも離れないと、ひとりにしないと言って。もう二度と顔も見たくない、未来永劫お前を忘れたい、

二つに裂ける。抱きしめたい殺したい。惑わせないでくれ、もうほっておいて。溶け合って一つになりたい、薄い皮膚で遮られたままのふたりでいたくない。ひとつになればもうこんな、身体を裂く痛みも感じなくなるだろうか。

ふたりで作る完全な円環。地の底へ転がり落ち、跳ねて水滴のように空に上がる。天空に昇り雲になりまた地表へ落ちる、そんなふたりだからこそ、裂いて砕いて粉々に、踏みにじりたくなるのだろう。それが男と女である意味、出会い愛しあった価値。愛おしさも苦しさも、ふたりでいる、存在の証明。