螺旋階段

これはお前の手。これはお前の指、これはお前の肩。胸、乳房のくぼみ。確かにお前だ。夢ではない。でも

心がまだない。抱いているのに何故手に入らないのたろう。舌を絡め声を上げさせれば捕らえられると思っていた。

黒い沼に沈んでいくようだ。手を掻き回してもがき探る、あるはずだ。この中に奥に。欲しいんだ、喉が渇いて死にそうだ。熱い

どうして心無いままに抱いたのだろう、何故手に入ると思ったのか。ただ空の器に砂が積もっていく。吐いた息が藁の人形の中に戻らない。どれだけ

愛しても虚しいこと。よく知っている。答えの出ない永遠の謎と終わらない螺旋だ。捻りあう二つの線は触れることなく続いていく。   それからは

その先は俺もお前も知らない。二重螺旋の先にあるものを見つけられるのか。答えが遠いからこそもがき続ける。 お前

冷たい夜の月、器の砂の一粒、河の底の砂金を拾うように。絶望を知りながら望みを絶つことなく探ろう。 探して

見つけられなくとも。お前の温もりだけ確かなのだから。