風に命じる

私が風を操れるなら

空の向こうの雨雲をここへ流す
星と月を遮り
曙光さえ隠すほどの厚い雲
だからお前は目覚めない
残酷な朝など来ない

 

私は風を操る

雲を早く早く流し
空を一面の青に
お前とふたりでいられる
晴天の下で
このまま太陽が傾かないよう

 

私の操る風

どこまでも吹き渡っていく
この世界の裏側
知らない国の知らない川の上まで
そこに行けたらいいのに

風は空翔ける
私は地上に残される

空を見上げ風に命じる私を
お前が抱きしめる
風のように空を渡れない
重く熱い身体のお前と私

 

風を操れなくてもいい
知らない国に渡れなくてもいい
お前がいるのだから
この熱い熱がある限り