黒水晶

 

彼の眼を見る

瞳は黒く深い
その周囲は白い雪
いや真珠だ

黒い夜の海に沈む珠
月の光を受けて光る水面
海が彼の眼の中にある

ただそれは欠けている
決して満ちることのない月のように
私が夜を半分消してしまった

お前の潰れた眼の中に
半分の夜が眠っている

私は白く濁った眼球を抉りだし
真珠と黒水晶で作ったまがい物を嵌め込む
欠けた夜が蘇る

その夜に私はいない
掌の中のぬるい左眼の中に入ってしまった

恋人よ
悲しまないで
お前の夜は欠けることなく
広がっていくのだから

お前の支配する
黒い世界が