秘宝

アンドレファンは回れ右!!来た道を戻ってください。

 

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むかし仏蘭西に男勝りの美しいお姫様と、よく見ればハンサムなお姫様の従僕がいました。ふたりはすったもんだの末恋仲になり、幸せに暮らしましたが、ひとつ問題がありました。

彼氏の×××は  親指大  だったのです。

愛があれば大きさなんてと、思ってはみたものの、彼氏以外知らないお姫様もちょっとばかり不満でした。そこで思い出したのは、代々伝わる秘宝でした。お姫様はこっそりそれを持ち出して、彼氏の前に出しました。

 

「・・・やっぱりお前、不満だったんだな」
「そうじゃないがまあ、ものは試しと言うだろう。駄目もとでやってみよう」
「キニシナイって言ってたのに・・・」
「やるのかやらんのか?!」
「わかったよ、やるよ。どう使うんだ」
「この持ち手を持って、相手の名前と大きくしたいところを言って、2、3度振ればいいらしい」
「大きくしたいところ・・ってお前が言うのか」
「え?あ、そうか。私が言わなきゃいけないんだな」
「お前・・言える?」
「うーん」

お姫様はやはりお姫様育ちなので悩みましたが、背に腹は代えられません。珍しい形の木のトンカチらしいものを持って振ってみました。

「アンドレの・・・・・大きくなれ」
「・・・変わらない」
「変だな」
「きっとはっきり言わなきゃ駄目なんだろう」
「はっきりって、私はちゃんと言ったぞ」
「俺には聞こえなかった」
「もう一度言えというのか」
「なんならやめてもいいぞ、もともとお前が言い出したんだ」
むっかー!お姫様の負けず嫌いに火がつきました。
「よし言ってやろうじゃないか!覚悟しろよ」
「そんな本気にならなくても」
「行くぞ!アンドレの  ×××(自主規制)  大きくなれ!!」
ぶんっ!

 

「・・・・・・・・振り過ぎたんじゃないか」
「あるいは声が大きすぎたかだな」
「どうするんだよ、これ」
「まるで・・三本足(ぼそっ)」
「死んでやるぅぅぅーー」
「待て!落ち着け。私が悪かった。何か方法を考えよう」
「せめて元に戻してくれ」
「完全に戻ると困るがな・・。そうだ、逆に振ってみるというのはどうだ」
「どうだろう」
「とにかくやってみよう。それ!」

 

「お前は加減ってものができないのか」
「私は不器用なんだ」
「そういう問題じゃないだろ。元より小さくしてどうするんだよ」
「そうだな、これでは実際の役に立たないし・・・待て、ちょっと待て。落ち着けって。もう一度」
「俺・・もうやだ・・・」
「泣くな、今度は手加減するから。そうれアンドレの・・以下略」

 

「なかなか良いもんだ」
「そうだろう、これも私の努力のお陰だ。感謝するように」
「努力ってお前ね・・いや、ありがとう。嬉しいよ」
「さてそれでは実際に試そう」
「喜んで・・・て、あ、そうだ。あのー・・・オスカル」
「なんだ?」
「これは誰でも使えるんだよな?」
「そうだと思うが」
「ちょっと貸してくれ」
「何するんだ、用事は済んだだろう」
「駄目もとで・・物は試しだから」
「お前まさか」
「大丈夫。俺は器用だから、ちゃんと手加減できる」
「そういう問題じゃないだろ。私のどこが不満だ!」
「まあ、落ち着け。一回、一回だけだ。オスカルの バ ス ト 大きくなれ!!」

 

「メロンにしてどうするーー!!」
「希望が強くて振りすぎたか・・悪かった!花瓶を投げるなって!!元に戻すよ」
「・・・あー元よりはちょっとだけ、軍服の邪魔にならない程度にしてくれ」
「あまり目立ってもいけないな。それじゃこのくらいで、せえの!」

「お前やっぱり器用だ」
「ご満足いただけましたか、お嬢様」
「なにかちょっと・・変な感じだな。胸が重い感覚に慣れない」
「俺はとっても満足してるけど」
「どっちに」
「そりゃ、こっちだよ」
「あ・・やん」
「今日から楽くなりそうだね」

 

「まあ・・秘宝なんてこんなもんだろう」
「・・・・・・」
「一晩だけ、一回きりしか効かないなんて私も知らなかったんだ」
「・・そうだな・・・一回きりでも・・良かったんだよな」
「男が泣くな、それくらいで」
「一回だけか・・はかない夢だった・・・って、痛ってぇぇぇえぇ」
「ぐずぐず言うんじゃない!お互い元に戻ってどこが悪いんだ。ありのままでいいだろう!」
「わかったよ・・ごめん。ん?」
「あれ?」

「なんで・・俺だけ昨日の状態に?」
「なるほど、この小槌で殴れば願った状態に戻るのか」
「また一晩だけの効果かな」
「そうだろう、まあお前の問題は解決したとして。アンドレ」
「はい?」
「お前、私を殴れるか」
「・・・・・・・無理」
「このままの私で充分だろ?」
「そうだ・・な。お前とこうなっただけでも充分すぎるほど幸せだ」
「なら一件落着。さあ楽しもう」
「喜んで・・・て、あの・・オスカル」
「何だ」
「まさか・・毎晩殴ったりしないよな」
「・・うーん」

「オスカル、勘弁してくれよーーー!」

 

 

シリーズ怪物前後編 再販します

シリーズ怪物〜前編&後編 BOOTHにて再販します。

長年連載しました「怪物」はこれで完結です。長年読んでくださった方々、続きを待ってくださった皆様。ありがとうございます。
発送が一段落した後、サイトとpixivでも続きを更新します。

表紙イラスト:rds

前編「序章〜sacrifice」「怪物」「愛の名において」+「神なき世界」
七百円(送料別)
✴︎「神なき世界」はプレリリース版と同じ

後編「世界が明日終わるとしても」「エピローグ〜希望」+「神の御許へいく」
八百円(送料別)

前後編セット 千五百円(送料別)

 

下記リンクよりどうぞ

前後編セット → 💙

後編 →    🌟

前編 →   ⭐️

 

 

 

 

 

シリーズ怪物〜前編・後編 同人誌発行のお知らせ

先にオンリーイベントで頒布しました「シリーズ怪物〜前編」「シリーズ怪物〜後編」をBOOTHにて頒布します。オンリー後に残部を出しましたが、新幹線に乗っている間にまさかの売り切れ。告知も間に合わず申し訳ありません。

ただいま急いで再注文中、9月4日再販予定です。お待たせしますが、もう暫くお待ちください。昨日ご注文いただいた方は発送作業に入っています。

BOOTH→ 【シリーズ怪物 前編後編セット

シリーズ怪物〜前編  700円
「序章〜sacrifice」「怪物」「愛の名において」収録
おまけ短編「神なき世界」つき(怪物プレリリース版に同じ)

シリーズ怪物〜後編  800円
「世界が明日終わるとしても」「エピローグ〜希望」収録
おまけ短編「神の御許へいく」つき

☆送料別途。

前編・後編の各々もありますが、個別に注文すると送料が倍かかってしまうので、全編通して読みたい方はセットをお勧めします。

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オンリー分の印刷がぎりぎりで宅配搬入ができず、持てるだけキャリーで持って行ったんですが、大変盛況だったためあちらでも売り切れました。欲しい本が手に入らない悔しさは、活字中毒者としてよくわかるので、本当に申し訳なくて。ブースでの再販希望数より多めにしました。今度は大丈夫・・かな?

「世界が明日終わるとしても」はあと一回。エピローグは二回。こちらでも順次公開していきます。二十三年・・ようやく終わった。これで発送が終われば、いつでも寿命で死ねるw

 

 

長編草稿供養

AO連載は二十数年かかっています。そのため途中草稿を書いては推敲する、という形を取りました。その古い草稿引っ張り出してきたら、流れ重視で切り取ったり書き直したりした部分が結構ありました。同じシーン三回書いてたり。書いた本人も忘れてたw

没草稿それなりあるので供養のため、未発表部分を除いた一部、細かい修正等以外を選んで載せました。あえてどこのどこ箇所かは書いていません。適当にご想像いただければ。ドライブで放置されてた草稿、これで成仏してくれナムー。

続きを読む 長編草稿供養

Phantom Pain

 

それは神のいたずらか

 

あのバスティーユの日、崩れ落ちる塔の瓦礫が礫のように落ちてきた。
「オスカル!!」
悲痛な声と衝撃の後は、しばらく土煙で何も見えなかった。強い風が吹いて、眼前で倒れている彼を見つけるまでは。
「・・・・アンドレ!!」
彼が私を突き飛ばし、彼自身は半身が瓦礫に埋もれていた。

「これしか、方法がありません」
医者の言葉は絶望の宣告に思えた。しかし。
「・・・頼み・・ます」
彼の右脚は、膝から下が切断された。私は眠る彼の前で膝を折った。生きてくれ・・・生きて。
やがて眠りから覚め、苦痛に顔を歪ませながら彼はかすかに微笑んで、私の頬の涙をぬぐった。

 

ヴェルサイユからは我先に貴族が逃げ出しているという。事態は混迷するばかりだったが、私は彼の傍から動かなかった。高い熱にうなされ、意識が朦朧としている中で時々、そこにはない右脚に触ろうとしていた。
「幻肢です」
失った身体の部位が、まだあるように痛みを感じるという。私は彼の手を強く握り、無い右脚をさすった。彼の表情が少しだけやわらいだ。

「裏切り者め!!!」
彼の部屋に行こうとした私の背後から、刃物を構えた男が駆け寄ってくる。咄嗟に身体を捻らせて避ける。
「隊長!!」
走ってきたアランが刃物を叩き落とし、男を組み敷いた。
「王妃の信頼を受けながら、この裏切り者!」
男はまだ叫んでいた。私は壁にもたれて崩れ落ちた、その時。ガシャーンと奥の部屋でガラスの割れる音。悲鳴。
「アンドレ?!!」
部屋に駆け込むと、突風にあおられた窓が割れ、ガラスが飛び散っていた。窓際で血まみれになった彼の上に。

「そんな・・・」
落ちてくるガラスを咄嗟に避けようと、手を出したのだろう。左手の薬指はもう、繋がらなかった。

 

ベルナールやアランの勧めもあり、私たちは縁のない土地に移り住んだ。彼は右足に義足をはめ、歩くこともできるようになった。
「歴戦の海賊みたいだろ」
暗い顔をした私に、彼が笑って言う。
「オスカル・・」
彼はまた、私の涙をぬぐう。
「これがお前の足や指なら、俺は身を千切りたくなるほど辛い。だからいいんだ。もう、泣かないでいい」
私は答えの代わりに、彼を強く抱きしめた。その思いは私も同じだったけれど。

冬が近づく。彼はまだ時々、眠っている間に右足に触ろうとしていた。目を覚ました私は彼の足に触れる。そこには冷たい木の棒しか無かったが。

「どうした、オスカル!」
彼の声が遠くなる。倒れこんだ床が冷たい。暗くなる視界の隅で、手のひらに吐いた血が見えた。口の中に血の味がする。胸が・・重い。
気づくと寝台に横たわっていた。夜になっていて、外は星あかりで眩い。暖炉にはあかあかと火が燃えている。
「寒さが辛かったんだろう、もう大丈夫だから」
身体はまだ冷たいが、彼が左手で握っている手だけは暖かかった。

それから幾日、私はうつらうつらとして目覚めなかった。時折、目を開けると彼がいる。私は手を伸ばした。彼の左手、右足に触れなくては、暖めなくては。彼が痛みを感じないように。しかしすぐに意識が遠ざかっていく。私の名を呼ぶ優しい彼の声だけが、聞こえる。

苦痛で目覚めたのは夜半だった。自分にも聞こえるほど息の音が荒い。肺が押し潰されたようで息ができない。身体がしなって激しく咳きこむ。
「駄目だっ」
彼が覆いかぶさってきて、背中をさすっている。喉の奥から塊がせり上がってきて、喉がつまる。
「かっ・・・ア・・」
かろうじて出せたのはその声だけだった。
「オスカル!!!」
目の前が暗くなる。声も・・・。

静かだった、物音もしない。ゆっくりと目をあける。外の星が見える。胸苦しさはもう、ない。どうして?
顔を横に向ける。傍に彼が横たわっていて、口元が血で染まっている。彼が私の詰まった血を吸い出したのだと分かる。
「・・アンドレ」
彼の頬に触れる。彼は目をあけない。同じく血で赤くなった彼の冷たい左手を握る。右足に手を伸ばしてさする。

「アンドレ・・・・」
どうして、どうして・・・どうしてっーーーーー!!!!

 

その時、わかった。彼が私の命を痛みを死を、その身に引き受けていたのだ。あのバスティーユの日に尽きるはずだった命、男に襲撃されたあの時の傷、喀血で失われるはずだった私の命の火。
それを身代わりとして、彼が全部。

これは神のいたずらか?何故私ではなかった、何故彼でなければならなかった?彼が私を愛したから、彼が私の尽きる命を救ったから。消えるはず命の代わりに、その身を差し出した。

これが、このようなことが、神のなさりようだとでも言うのか!!!

 

私は動かない彼にキスをする。唇で血をぬぐう。左手の薬指にもキスを。右足を手のひらでつつんで暖める。
もう、痛くはないだろう。私も、もう苦しくない。だからずっと抱きしめているよ。お前の胸に顔を埋め、お前の香りをかいで、左目に、左手に、右足に、お前の全てにキスをしよう。痛みも苦しみも愛も、命も、分けあおう。

離れないでいて・・・このまま、永遠に。

 

ひとくみの夫婦と背の高い男が訪れた時、彼らは静かに微笑んで抱きあっていた。三人は彼らを花で埋めた。遠く都では、まだ血が流されていた。

 

 

END

 

 

 

シャロンの白薔薇

ガンダムジークアクスとベルばらコラボSS

オスカル・フランソワ准将=シャア・アズナブル
アンドレ・グランディエ中佐=シャリア・ブル
ロザリー少尉=コモリ・ハーコート
マリー王妃=キシリア・ザビ
フェルゼン少尉=エクザベ・オリベ
アルトワ総帥=ギレン・ザビ

その他はジークアクスの設定のままです。ただしマチュとシュウジは超脇役です。ニャアンは出てきません。9話時点での設定ですが多少改変しています。

ご理解いただけましたら どうぞ。

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アニばら語り アンドレの最期

何かと物議のアンドレの最期。私はアリだと思ってます、アリ寄りのアリ、むしろ全肯定!なぜならば、庇って死なれるのはオスカルが辛すぎるからです。

勿論死別の慟哭は限りなく深いけど、それ以上の重荷なんてこの波乱の人生の女性に負わせたくない。アンドレも死にたかったはずはない。絶対にオスカルの死は見たくなかっただろうけど、それはオスカルも同じ。

そして事実上の内戦状態で兵士が死ぬ。それは全く美しい行為でも情景でもないんです。あの時傷ついた兵士も死んだ兵士もいて、アンドレはその中の一人だった。流れ弾だろうが庇おうが死の事実に変わりない、一人の兵士の死。そういうアンドレの最期だったと思います。

流れ弾だから無駄死に、庇ったから美しく賞賛される死。

アンドレの人生の価値はそのようなもので毀損される程度ですか?アンドレが人生かけてオスカルを愛したことは、流れ弾で無駄になりましたか?

私は死に優劣や価値をつける考え方が好きではありません。それが残された者の慰めであったとしても、人生は生が決めるものです。